-astral-星に捧ぐ少女
3章.愛と憎しみの天秤
消えた力、途絶えた声
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ラシーズ島の隣に位置するカイロスデガ大陸の港町、アクアゲートに着いた私達は一晩宿に泊まる事にして、宿を探す。
「アクアゲートの活気のすごさは耳にしていたけど…本当に貿易の盛んな町だね。色んな大陸の特産物が店にならんでる」
「あぁ。ロードシア、ラージシアが必死こいて同盟を結んだのも頷ける」
カースさんとダンテは先を歩きながら国の情勢についてを語っている。
そんな二人の話も私の耳には入ってこなかった。
理由は多分…………
先程から続いている頭痛と体の怠さが原因だろう。
一体どうしてしまったのでしょうか…
先程から頭がクラクラします。
視界もなんだかぼやけて…
「っと!!!」
またふらっとふらつく私を、隣にいたユーシスが咄嗟に支えた。
「ぁ…すみません…」
いけない……
しっかりしなくては……
ユーシスから離れて歩き出す私の腕をユーシスが引っ張る。
それだけでふらっとまたふらついてしまう。
「フィリア、体調が悪いのか?」
心配そうに私を見るユーシスに笑顔を作る。
「大丈夫です、日差しが強いせいでしょう。じきになれますから…」
「確かに、カイロスデガ大陸は熱帯だからな。女には少しキツイかもしれない」
そう言ってユーシスは私の頭にマントをかけた。