-astral-星に捧ぐ少女
「なっ…フィリア!?」
明らかに動揺したユーシスを無視して私は顔を近付けていく。
ついに互いの吐息が交わる位置までくると、私はコツンとユーシスの額に自分の額をくっつける。
「…あ………?」
ユーシスは間抜けな声を出して私をまじまじと見る。
私は瞳を閉じて、額から伝わる熱を感じていた。
「カースさんは私の体調が悪い時、こうして熱をはかってくれました。ユーシスも体調が悪いのかと…」
そう思ったのですが……
どうやら熱はないようです。
「…はあぁー……」
そう言うと、ユーシスは深いため息をついた。
「?????」
「…小首傾げて…本当、天然で困るよ、フィリアは」
そのままポンと頭を優しく撫でられた。
「ユーシス…?」
「俺は元気だ。体調が悪いのはフィリアだろ?」
そ、そうでした………
私はすっかり自分の体調の事を忘れていました。
「ユーシスといると…嫌な事も全て忘れてしまうようです」
「ま…さか…体調悪いの忘れてたのか!?」
コクンと頷くと、ユーシスは苦笑いを浮かべた。
でもどこか嬉しそうだ。
「ユーシス、改めてありがとうございます」
私はゆっくりと頭を下げる。そんな私をユーシスは驚いたように見つめる。
私が今、ここにいられるのはユーシスが私に居場所をくれたからです…
傍にいてくれるから…
「私に歩み寄ってくださって…ありがとうございます。今、こうして太陽の光を美しいと思い、あなたと過ごす何気ない時を愛おしいと思えるのは、ユーシスのおかげです」
私に沢山の温もりをくれました……
生きる希望をあなたはくれたのです。
「…俺は、俺の為にフィリアを助けたんだ。フィリアの傍にいて、フィリアが俺の居場所だったら…そう思ったからだ」
「…ユーシスは…私が傍にいる事を望んでくれるのですか?」
ずっと…受け入れられなかった私を……
受け入れてくれるのですか…?
「望んでるよ…フィリアの存在が俺は愛しい…」
ユーシスはゆっくりと私を抱き寄せる。
「フィリアが…俺の気持ちに気付くまで……」
ユーシスは耳元で甘く呟く。背筋がゾクゾクと痺れるようだ。
「愛しいという気持ちがどんなものか…それに気付くまで待つからさ…」
私は何も言えなかった…
ユーシスの言う愛しいの気持ち……
何度も紡がれる"愛"のカケラ……
私がそれを知るのは、もっと、ずっと先の事……