-astral-星に捧ぐ少女
「ダンテ!!!」
私はたまらず飛び出した。倒れるダンテに駆け寄る。
「お前っ!!!何で出てきやがった!!隠れてればよかったってのに…うっ…」
ダンテ…私が隠れていたのに気づいて……?
「傷が痛むのですね、早くここから逃げましょう」
私がダンテを支えようとすると、背後で笑い声が聞こえた。
「全く…俺達の存在が忘れられているようだな」
シドの笑い声が私の体を震えさせる。
それでも逃げだそうとは思はなかった。
この人は……
私を救ってくれた人……
塔から逃げ出すきっかけをくれた人……
「どうか…ダンテを傷つけないで下さい」
私は両手を広げ、ダンテを守るように背に庇う。
「…それは出来ませんよ、フィリア…ガーラントさん」
「…え……?」
何故…私の名前を……?
「てめぇ…何でこいつの事を知ってやがる…」
私の疑問を、ダンテが代弁した。
「分かりきった事を…。国王の勅命は二つ、お前の帰還と白銀のアストラル所持者の奪還だ。お前の帰還はあくまでついで…だがな」
シドの一言に、体が震え上がる。
狙いは…私…だったのですか……?
「チッ…ついに帝国まで動き出しやがったか…」
ダンテは傷を押さえ、私の前に出る。
「ダンテ!!」
そんな傷では………
「おい、お前のアストラルは今使えるのか?」
「…え……?」
ダンテはボソリと私に聞こえるくらいの声で呟く。
私のアストラル……
そうです、私のアストラルなら……
私は両手を見つめる。
ダンテを…守らなくては…
力を…使わなくては…
「白銀の…アストラル!!」
―ピカッ
光が私から放たれる。
でも………
「どう…して……」
それは一瞬だった。
力の兆候はあっても発動しない。
白銀のアストラルの声も聞こえなかった。