-astral-星に捧ぐ少女


アデルシア帝国の特別騎士団に所属する俺は、出は悪いものの少し身分が高い。


そのおかげで、邸も立派なものを建てられた。


アデルシア帝国内で起きた内戦のせいで、俺達は親を、帰る家を失った。


剣の腕と、アストラルの力を買われて騎士になった俺は、妹と二人でこの邸に住んでいる。


あいつだけは………
俺が守らなきゃならない。


それが俺の生きる唯一の意味だ。


訓練の為に訓練場へと入ると…


「ハイベルト、少しいいか?」

「平気ですよ隊長」


騎士団総隊長、シド・ラッサ。
俺の力を買って国王直属の特別騎士団に配属した張本人、剣の師匠でもある。


「明日、帝都レティオに潜伏しているであろう反帝国組織をあぶり出す。お前には俺と共に前線に出てもらう」


あぁ…そういや話を耳に挟んだ事がある。


帝国の武力による政治を反対して、反帝国組織が結成されたとかなんとか…


「あぶり出す…今度は何をするんすか?」

「片っ端から尋問だ。容疑者は城へと連れて行く。女子供構わず、だ」


…またか……
この腐った帝国を反対する人間なんて五万といる。


それでも……
反対するだけ無駄だ。
この圧倒的な武力の前には…


滅びしかねぇ。


国王は慈悲なんてもの、持ってねぇからな…


ただ壊し、奪い、血を流すだけの冷酷な国王だ。


あの圧倒的な力、権力やアストラルの前には…


灰になるしかないんだからな…










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