-astral-星に捧ぐ少女
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「おー帰ったぞ」
「お帰りなさいませ、ダンテ様」
訓練が終わり、空が黒に染まった頃に邸についた。
使用人達が頭を下げる中、慌ただしい足音が近づいてくる。
「お兄様っ!!」
―ガバッ
「ウガッ!!!?」
帰ってきてそうそうテレサが飛びついてくる。
「……………何やってんだお前は……」
「お兄様!!!聞いて下さい!!」
いつも以上に騒がしいな…
「聞いてやるから話せよ」
ため息をついてテレサを見ると、急に佇まいを正した。
…………?
一体何があった???
いつもとは打って変わって真剣なテレサに、俺も自然と動きを止める。
「……………ん…ました…」
「あ??」
今、何つった?
「きっ…」
「き?」
顔を真っ赤にしたり真っ青にしたり…
…何なんだ?
「…求婚されました…」
「へー…………」
求婚………
求婚…………
「求婚だぁ!?」
いつもの条件反射で適当に返事してしまったが、事の重大さに今更気付く。
「お前…ついにイカレたか?」
「私は正気です!!!」
正気なら正気で大問題だろ…?
「誰…とだ?」
ラドナ国王様はどうしたよ?
「…ラドナ国王様です」
「…………今、何つった?」
ラドナ国王…だと?
「今日、初めてお話して…それで求婚を……」
「…お前、返事したのか?」
テレサは無言で頷く。
「あ、ありえねぇ…」
「私も信じられません!!でも…」
テレサは右手の薬指を俺に見せる。
そこにはこの国の王妃に贈られるルビーの指輪がはめられていた。
それが真実だと告げる。
途端に胸が苦しくなった。
コイツは…俺の手を離れていくのか……
いつか来るだろうとは思ってた。でももっと先の話だと……