-astral-星に捧ぐ少女


「遥か昔、5つの大陸が一つの大地であった頃に光闇の五族メティアという古代文明が存在したそうです」

古代文明……メティア…


―ドクンッ


何故…でしょうか……


私はそっと服の上から胸をおさえる。


その名前を聞いただけで感じる懐かしい気持ち…

溢れるとてつもない悲しみ…


「メティアには世界の存続を審判する力が与えられていたそうです」


存続………
審判………


またどこかで聞いたような………


『…現在(いま)を紡ぎ、世界を存続させる者か?』


あ………
そうです、ロイのアストラルが言っていた事です。


『我は…現在を断ち切り、世界を滅亡させる者』


『我と汝は紙一重であり、故に対と呼ばれる…。世界の存続を問う審判の時が近付き、汝は選択を迫られるであろう…』


あの時、ロイのアストラルは何を私に告げたかったのか…


知る時が来たのかもしれません。



「輪廻を司るのは魂を呼び戻す反魂のアストラル。
真実を司るのは世界全てを見通す力、神瞳のアストラル。
願いを司るのはあらゆるモノの声無き声を聞く力、世音のアストラル。
終焉を司るのは全てを無に還す力、虚無のアストラル。そして…判決を司るのは二つのアストラルです」


神瞳のアストラル、虚無のアストラル……
どこかで聞いた事あるような…


「!!」


そうです…
エイゼ様とユラさんのアストラルです…


「フィリア?」


驚いた顔をする私をテレサは心配そうに見つめる。


「私の知り合いがその中のアストラルを持っています。一人は…亡くなってしまいましたが……」


私の言葉に、今度はテレサが驚いた。


「まぁ!まさか…集まっているのでしょうか…」


しばらく神妙そんな顔をするテレサは、我に返ったのか、話を続ける。


「最後が最も重要です。世界の存続を最後に決める判決者。存続、白銀のアストラルと対の滅亡、漆黒のアストラル…。五族の長です」


私のアストラルは存続を、そして………


兄、ロイのアストラルは恐らく……


滅亡、漆黒のアストラル…

私が聞かされていた伝承は漆黒のアストラルを絶対的に悪としたものだった。


でも………………


違う…全ては世界がこの先存在するか否かを決める力……


人々にとって滅亡をもたらすロイの力が疎ましくて仕方なかったのですね…


存続をもたらす私の力を救いの力と呼び…


崇めた……










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