-astral-星に捧ぐ少女


「お兄様!!!」


テレサがダンテに向かって叫ぶ。


「………テレ…サ………?」


ダンテの瞳が見る見ると見開かれていく。


「お兄様、私は生きています。ずっと、幽閉されていました」


テレサはゆっくりとダンテに歩み寄る。


ダンテはただ近づいてくるテレサを呆然と見つめていた。


「お兄様、私はここにおります。生きています」


ダンテの目の前までやってくると、ゆっくりとダンテを抱きしめた。


「お兄様…今まで辛い思いをさせてごめんなさい…。お兄様も…生きていて良かったっ…」


その言葉で、ダンテの瞳に光が戻った。

その瞳から、涙がこぼれる。


「…お前が…ここにいたのに…。俺はお前を置いて…すまなかった…」


ダンテはテレサを強く抱きしめる。


それを見ていたら、涙が溢れた。


…良かったですね…
ダンテ、テレサ…


「…やっと…取り戻せたのか…」


シドは二人を見て小さく笑う。


その呟きは、誰にも届かなかった。










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