-astral-星に捧ぐ少女
「…シド、奴らを殺せ」
すると、広間に冷酷な声が響いた。
「ラドナ国王陛下…」
シドはラドナ国王に頭を下げた。
「そこの天使が檻を壊したようだ」
ラドナ国王が冷たい笑みを私へと向ける。
「…大丈夫だ…」
ラドナ国王の目から隠すように、ユーシスが私を背に庇う。
「ロストアストラルを失うわけにはいかないのだ。ロストアストラルを手に入れる事こそ世界を手にしたと言える」
…世界を手に……
私達の存在が世界の存続に左右するのなら…
世界を手にしたも同じですね…
自分達が自分で思ってる以上に影響をもたらしている。
「ロストアストラル?」
「失われた五星…ロストアストラル。世界に選ばれた宿命の星だ」
ユーシスの問いに答えるように、ラドナ国王が話し出す。
そして、ラドナ国王は私達が聞いた通りの伝承を語った。
「ありえねぇ…」
ユーシスは頭をがしがしと掻きまわす。
「世界を我が手で支配出来るのだよ」
「…頭沸いてやがんな…てめぇ」
ダンテは剣をラドナ国王へと向けた。
「我に忠誠誓ったのではなかったか、ダンテ」
「チッ…騙しておきながら何ほざいてやがる」
ダンテはラドナ国王を睨みつけた。