-astral-星に捧ぐ少女


「…負けないで…」


―キィィーーン…


テレサの周りの空気が震え、耳鳴りが聞こえる。


「お兄様…お兄様は絶対に負けません…」


テレサの声が優しくこだまする。


「そうです…ダンテが負けるはずないのです…」


「フィリア…。そうだな、あいつは最後まで手を出すなって言ったんだ。俺はあいつが勝つって信じる」


そうです…
守る者がいるのです。
もう二度と、ダンテは手放さないはずです。


そうですよね…?
ダンテ…




「…当たり前だろ、馬鹿がっ!!!」


―バアアアンッ!!!


沼の中心から爆風が起こる。


「…っと……」


その爆風からユーシスが守ってくれた。


「ユーシス、ありがとうございます……」

「おう!怪我無いか?」


私が頷くと、ユーシスは安心したように笑みを浮かべた。


「やっと這い出て来たみたいだね」


カースはテレサを庇いながら上を見上げる。


同じように顔を上げると、そこには不敵に笑うダンテの姿があった。





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