-astral-星に捧ぐ少女


「…シド、これで終わらせてやる」


ダンテの剣は重力の力を集中させ、重さを増す。


それと反対に、ダンテの体は無重力下にある。


「…これ…は……」


シドはダンテを見て目を見開いた。


重力の反発により、凄まじい風が巻き起こる。


「…おいお前等全員ここから除け!!」

「はっ!?何言ってんだよ!!」

「おい馬鹿、俺が力をぶっ放すから逃げろっつってんだ!!」

「なっ…」


ユーシスが絶句する。その肩をカースさんが軽く叩いた。


「確かに、これじゃあ俺達も塵になるよ。ここは引こう」

「でも!!」

「それに、今アデルシア帝国といざこざがあれば、戦争の引き金になる。ここはダンテに任せるべきだ」


戦争…
その言葉に、ユーシスは渋々頷いた。


「…だけどな、必ず戻れ。港で待ってる」


ユーシスはダンテに背を向けてそう言い放った。


「断然」

ダンテは不敵に笑う。


「お兄様……」

「…必ず帰る」


不安そうに見上げるテレサに、ダンテは笑みを向けた。



そうして私達は、ダンテを残し、城から脱出したのだった。










< 241 / 357 >

この作品をシェア

pagetop