-astral-星に捧ぐ少女
「…シド、これで終わらせてやる」
ダンテの剣は重力の力を集中させ、重さを増す。
それと反対に、ダンテの体は無重力下にある。
「…これ…は……」
シドはダンテを見て目を見開いた。
重力の反発により、凄まじい風が巻き起こる。
「…おいお前等全員ここから除け!!」
「はっ!?何言ってんだよ!!」
「おい馬鹿、俺が力をぶっ放すから逃げろっつってんだ!!」
「なっ…」
ユーシスが絶句する。その肩をカースさんが軽く叩いた。
「確かに、これじゃあ俺達も塵になるよ。ここは引こう」
「でも!!」
「それに、今アデルシア帝国といざこざがあれば、戦争の引き金になる。ここはダンテに任せるべきだ」
戦争…
その言葉に、ユーシスは渋々頷いた。
「…だけどな、必ず戻れ。港で待ってる」
ユーシスはダンテに背を向けてそう言い放った。
「断然」
ダンテは不敵に笑う。
「お兄様……」
「…必ず帰る」
不安そうに見上げるテレサに、ダンテは笑みを向けた。
そうして私達は、ダンテを残し、城から脱出したのだった。