-astral-星に捧ぐ少女


――――――――――
―――――――
――――


―大広間


「…これで終わりだ」


剣を振り下ろせば、肉体も塵と化するだろう。


遺体すら残らないくらいに…


「…ダンテ、早く殺せ。迷えば殺せなくなるぞ」

「っ…馬鹿野郎…。今だってアンタなら隙をつけたはずだ」

「…さてな…」


適当にごまかすシドに、苛立つ。


「なんで…アンタは…」


ラドナ国王になんか従ってんだ…。


言葉に出来ない想いが溢れる。


今更…今更どうしろと…
もう後戻りは出来ねぇんだ…


「…俺にはもう…この罪の中でしか生きていけないんだよ。だから、お前がそれを責に思う必要はない」

「なら何で足掻かねぇんだ!!」


あんな狂った王なんてさっさと見捨てちまえばいい。


「…狂っても…俺の主だ。騎士は主の剣、それは俺の信念だからな」

「…馬鹿だろ…隊長…」


俺が隊長と呼ぶと、シドは小さく笑った。


「…すまないな…ダンテ。だが…本当に強くなった。お前は…俺の最高の教え子だ」

「っ…くそっ!!!」


視界がぼやけた。
涙なんか…流してやるもんかよ…


そんな…情けねぇ姿、見せられねぇ。


俺は隊長を見据え、剣を持つ手に力を込めた。







< 242 / 357 >

この作品をシェア

pagetop