-astral-星に捧ぐ少女


「まあよい、我にはお前がいるからな」

「…これはこれは…光栄ですよ、国王陛下」


ラドナ国王の後ろから、ヌッとシルクハットを被った黒髪の男が現れた。


「なんだ…てめぇ…」

「私はロスト。以後、お見知りおきを」


ロストはうやうやしくシルクハットを外し、こちらに頭を下げた。


…ラドナ国王とどんな関係だ?


「いずれあなた達へ挨拶へと向かいますよ。それから、フィリアさんにお伝え下さい。必ず迎えに行くと」


フィリア!!!?
フィリアだと!?


「あいつを何で知ってる?」

「ふふっ…はて、なんの事やら」


「とぼけてんじゃねぇ!!!」


剣を掴み、そのままロストへと斬りかかる。


―グワンッ


「なっ!!!?」


確実に捕らえたはずだった。だが、ロストの体を斬りつけた瞬間、幻のようにすり抜けたのだ。



「今あなたを殺すのは惜しい。どうせなら、ラドナ国王を楽しませて差しあげねば」


ロストはニヤリと笑いい、片手を上に上げる。


「ほう、我を楽しませてくれるのか」

「もちろんにございますよ」


その瞬間、ロストの手からどす黒い闇が生まれた。






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