-astral-星に捧ぐ少女
4章.双星の決意と闇の戦慄
暴走
―ロードシア大陸、クロード教団
アデルシア帝国からクロード教団へと戻り、一ヶ月。それぞれの生活が落ち着きを取り戻していた。
ダンテとテレサは城下町、サンマイルに部屋を借りて仲良く暮らしている。
ダンテは正式にクロード教団の騎士となり、ユーシスと同じ特別騎士団へと配属された。
グランは面白いからとしばらくここに滞在するらしい。
シエルナは私と同じように城に部屋を貰い、ここで暮らす事になった。
「時間は…早いものですね…」
「本当だな」
私は、ユーシスと一緒に庭で散歩をしている。
こんな穏やかな日が、ずっと続けばいいのに…
ただ、こうしてユーシスと一緒にいたいです。
それだけでいいのに…
「フィリア、ほら…」
また嫌な事を考える私に気づいてか、ユーシスが花を私に手渡した。
「これは……?」
青くて美しい…
なんて澄んだ青なんでしょう…
「レゴリアの花だ。この寒い時期に咲く花でな、フィリアに似合うって思った」
私の手からレゴリアの花を取り、私の耳の上にさす。
「やっぱりな!!瞳とそろって綺麗だ!!」
「あっ……」
綺麗…ですか…
なんだか、頬が熱くなる。
なんでしょう…
今は少し肌寒いくらいの季節なのに…
「フィリアっ!?顔…赤…く……?」
私が照れてると知ってか、今度はユーシスの顔が赤くなった。
好き…
これは好きだからでしょうか…
テレサやシエルナに言われて気づいた気持ち。
まだ実感はないけれど…
これが、恋であったら嬉しいです…
私の知らない感情が、ユーシスから貰えたのなら…
それはとても嬉しい事ですから…