-astral-星に捧ぐ少女


「世界は僕等にとって害でしかない。そうだろう?」


ロイ兄さん…
私は、ずっとあの塔にいたから、兄さんがどうやって生きてきたのか知らない。


でも……


きっと私と同じだったのかもしれませんね…


私と同じ…孤独な人…



「兄さん、私もこの世界が許せなかったです。私を閉じ込め、人以下の扱いを受け、なにより、大切なお父さんとお母さんを殺したこの世界が憎かった!!」

「フィリア!?」


私の一言にユーシスが不安そうに私を見た。


「なら…」

「でも…憎いだけのこの世界に、光がありました…」

「光?」


ロイ兄さんは不思議そうに首を傾げた。


そう…光…
私には、色んな事を
教えてくれた人がいた。
支えてくれた人がいた。
笑顔をくれた人がいた。
勇気をくれた人がいた。


「私に人として大切なモノを沢山くれた人達がいました。そこに私は居場所を見つけたんです」


私の帰る場所。
私の大好きな人達がいる場所…



「ロイ兄さん、世界には温かい場所もあるんです!!ですからっ…」


「…そうか。フィリアは壊れてしまったんだね」

「…え……?」



急にロイ兄さんの声が低くなった。


…な…に……?


嫌な予感がする。
こんな感じを、私は前にもどこかで…


「…なら力づくでも君を手に入れるよ。フィリア」

「ロイ…兄…さん…?」


体がガタガタと震えだす。なんで…なんで…


兄さんが…怖い……?


「―漆黒のアストラル」


『―漆黒の翼をはためかせ…』


―ズキンッ


「うぅっ…兄さ…」


急に頭痛が起きた。
それもどんどん痛みが増していく。












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