-astral-星に捧ぐ少女
『黄金の…』
「兄さん…どうして…」
兄さんは私に弓を向けているのですか?
今すぐその弓を解いて、嘘だと言って下さい…
嘘だと……
―シュンッ
「フィリアさんの力が弱まった…迷って…?」
迷う……
エイゼ様の声が聞こえた。
そうです…
私は迷っている…
兄さんに弓を射るなんて…
もし命まで奪ってしまったら…
―シュンッ
光が一回り小さくなった。
「…フィリア…」
―フワッ
「ユー…シス……?」
ユーシスは私の背に立ち、一緒に弓を引き絞る。
「…フィリアの力は温かいな…」
「…え……?」
突然そう言い出したユーシスに私は呆気にとられた。
「フィリア、フィリアの力は誰かを守れる強い力だ。フィリアが傷つける事を望まなければ、アストラルはきっと応えてくれる」
「アストラルが……」
白銀のアストラル……
『欲せよ…我が力を…』
私は乞い願います。
私は…ロイ兄さんも、皆も守りたい!!
『しかと…受けとったぞ…我が愛しい子よ…』
『ー矢を放て……』
―バァァァンッ!!!
私の力とロイ兄さんの力がぶつかり、爆風を巻き起こす。
「相殺かよ!!力は五分五分って事かぁ!?」
「グラン、あまり大きな声を出さない方がいい。攻撃の的にされるよ?」
シエルナとグランを爆風から庇いながらカースは砂埃の中目を凝らす。
―キィィィン
「…っ…耳鳴り!!次が来るよ!!」
カースの声に空を見上げると、そこには次の矢を放とうとするロイ兄さんの姿があった。
「いけないっ…白銀の…」
―ドクンッ
「あぁっ!!?」
急に心臓が嫌な音を立て痛み出した。
胸を押さえて地面へしゃがみ込む。
―ドクンッ…ドクッ、ドクッ
「あ…あ……」
体の先という先から冷たくなっていく。
同時に指先の感覚を失った。それに加えて視界まで真っ暗だった。
「い、嫌ぁぁっ!!」
「フィリア!?」
「ユー…シスっ…どこ…?」
必死に手を伸ばす。
それをユーシスが掴んだ。
「どこ…どこ!?」
「どこって…フィリアの手、握ってるだろ!?」
「…え……?」
でも……
私、分からない……
ユーシスの手…感じない…