-astral-星に捧ぐ少女


「私達は世界の人柱…」

「人柱って…」

「ユーシス、それでも、私達は命をかけてまで守りたい未来があります」


あの時、皆で誓いました。愛しい人達の未来の為に、私達は死のうと…


「何でだよ!!そんなのおかしいだろ!!」

「…兄さん…」


私はユーシスを無視してロイ兄さんを見上げる。


「兄さん、やっとわかりました。兄さんは私を死なせない為に戦っていたんですね…」


ロイ兄さんは悲しげに私を見下ろしていた。


「でも、どのみちロストアストラルは短命です。これまで払ってきた代償に私達は蝕まれています…」


皆そうだ。
強制され使わされた力の代償を、何かを守る為に支払った代償に殺される。


「私達は皆遅かれ早かれ、すぐに死んでしまうでしょう…」


それは呪いだった。
逃れられない運命……


「それなら、私は生きた証を残したいです」


未来を守り、消えていけたのなら…


私達の大切な人達が私達を忘れずに生きてくれたのなら…


「未来という形で、私達の大切な人達の中に想い出として生きる…。それが、私達の願い…」


―バサッ


私はロイ兄さんの元へと飛んだ。


「兄さんっ…」

「フィリ…ア……」


私はそのまま兄さんを抱きしめた。


「私は、もうこの世界に絶望していません。この世界に居場所を見つけました。悲しいだけの世界じゃなかったんです…」

「…どうして…。こんな世界があったから僕達は…」

「こんな世界があったから、私達は双子になれました」


「!!!」


ロイ兄さんが目を見開く。それから、涙を流した。


「…あぁ…。僕たちはこの世界で生まれたんだ…」

「はい……」


私達は抱き合いながら涙を流す。


「兄さんの居場所は私です。私の居場所も兄さんです…」

「あぁ…。温かい…」


本当に温かい…
私の…唯一の家族……


「お帰りなさい、兄さん」

「…お帰り…フィリア」


私達は笑顔を交わす。
そして手を繋いでロストを見つめた。











< 304 / 357 >

この作品をシェア

pagetop