-astral-星に捧ぐ少女
「私達は世界の人柱…」
「人柱って…」
「ユーシス、それでも、私達は命をかけてまで守りたい未来があります」
あの時、皆で誓いました。愛しい人達の未来の為に、私達は死のうと…
「何でだよ!!そんなのおかしいだろ!!」
「…兄さん…」
私はユーシスを無視してロイ兄さんを見上げる。
「兄さん、やっとわかりました。兄さんは私を死なせない為に戦っていたんですね…」
ロイ兄さんは悲しげに私を見下ろしていた。
「でも、どのみちロストアストラルは短命です。これまで払ってきた代償に私達は蝕まれています…」
皆そうだ。
強制され使わされた力の代償を、何かを守る為に支払った代償に殺される。
「私達は皆遅かれ早かれ、すぐに死んでしまうでしょう…」
それは呪いだった。
逃れられない運命……
「それなら、私は生きた証を残したいです」
未来を守り、消えていけたのなら…
私達の大切な人達が私達を忘れずに生きてくれたのなら…
「未来という形で、私達の大切な人達の中に想い出として生きる…。それが、私達の願い…」
―バサッ
私はロイ兄さんの元へと飛んだ。
「兄さんっ…」
「フィリ…ア……」
私はそのまま兄さんを抱きしめた。
「私は、もうこの世界に絶望していません。この世界に居場所を見つけました。悲しいだけの世界じゃなかったんです…」
「…どうして…。こんな世界があったから僕達は…」
「こんな世界があったから、私達は双子になれました」
「!!!」
ロイ兄さんが目を見開く。それから、涙を流した。
「…あぁ…。僕たちはこの世界で生まれたんだ…」
「はい……」
私達は抱き合いながら涙を流す。
「兄さんの居場所は私です。私の居場所も兄さんです…」
「あぁ…。温かい…」
本当に温かい…
私の…唯一の家族……
「お帰りなさい、兄さん」
「…お帰り…フィリア」
私達は笑顔を交わす。
そして手を繋いでロストを見つめた。