-astral-星に捧ぐ少女


「フィリア、頼むから、戦わないでくれ…。俺は、フィリアを死なせたくない」

「ユーシス……」



私の代償の事を言っているのか、それともこの絶望的な状況の事を言っているのか…


死が近い……


目の前に何百、いや…何千といる化け物に対して、私達はたった10人。


一応敵地への密偵として数百ほどの兵が後ろに控えている。


それでも……
人数には圧倒的な差があった。


「あれはなんです…?」


テレサは泣きそうな声で化け物を見つめる。


「あれは元アデルシア帝国兵だよ!素晴らしいだろ、今は皆、私の人形だけどね!」


ロストは高らかに笑った。


「てめぇ…何しやがった…」

「何怒ってるの?あぁ、君の仲間だったんだっけ、あれ」


あれ呼ばわりするロストにダンテは殺気を膨れ上がらせる。





「…気分悪いね…」

「おい、カース…大丈夫かよ!?」


口元を押さえてしゃがみ込むカースにグランが駆け寄る。









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