-astral-星に捧ぐ少女
「カース」
「…シエ…ルナ……?」
やっと我に返ると、シエルナが俺を抱きしめていた。
…一体何が……
「カース、大丈夫だ。その闇に捕われないように僕がカースの魂を守ってあげる」
「シエルナ…もしかして力を…?」
さっきまでの気持ち悪さが消え、心地好い空気に包まれている。
これが…シエルナの力…?
「あぁ、僕には魂を鎮める力があるからな」
シエルナは笑顔を浮かべた。
「でも、シエルナの代償は…」
ロストアストラルは命を代償にしているって…
「気にしないでくれ。どのみち僕等は長くないから」
そうなんでも無い事のように言う。
なんで…
彼等はそんなにあっさりと死を受け入れてるんだ…?
どうして…
生きたいんだって言わない…?
「シエルナ、シエルナ達は死ぬ気なのかい?」
俺の言葉にシエルナは首を傾げる。
「僕等は死を定められてるんだ。そこに僕等の意思は関係ない」
定められてる?
それをシエルナ達は受け入れてるのか?
死ぬ為に生まれ、それを繰り返して…
「それでいいの?生きたいとは思わないの?」
「…生きたい。でも僕達がこの責務を放り出せば、世界は消える」
「君達を犠牲にしてまで生き延びようとは思わないよ」
何故、自分でもこんなに彼女が気になるのか分からない。
それでも、簡単にそうですかと流す事はできなかった。