-astral-星に捧ぐ少女


「…こりゃまた…」


ジード隊長は苦虫をかみつぶしたように苦い顔をする。


「…一つの未来を変えるだけではまだ足りないというのか…。この世界はよほど、私達を消したいようだ」


エイゼ様……
エイゼ様の言う通りですね。


兄さんを殺す未来は消えた。でもそれだけだ。


今、目の前に広がる絶望は、私達を確実に葬るだろう。


「……今、俺達に出来る事をしよう。なんとしても生き残るんだ」


心が絶望で満たされた時、ユーシスが口を開いた。


「俺達が諦めたら世界が消えるんだろう?なら、俺達が戦うんだ」


私達が…あの絶望と…?
圧倒的な力の差と戦って皆死んでしまったら…?


私は、この広い世界で、私に居場所をくれたユーシス達が好きです。


でも、私はあなた達がいるからこの世界を守りたいと思った。


あなた達より大切なものなんてありません。


あなた達がいない世界など、私にはなんの価値もない…


それをユーシスは守れと言うんですか?


「この世界は、俺達が出会えた世界だろ?」

「…あ……」


私達が出会った……


「この世界が無ければ俺達は生まれてくることも、仲間に合う事もできなかった」


この世界がなければ…


「この世界は、俺達が生まれた大切な居場所だろ!?」


…そうでした……
ここは…私の居場所。


「ユーシス…」


私はユーシスの手を握る。


「必ず、守りましょう…」


私達の居場所を…
あなたが私にくれた居場所を、手放さぬように。



「フィリア…あぁ、大丈夫だ。俺達は負けない」


―大丈夫


ユーシスがそう言うだけで私は安心できる。


ユーシスは勝利を信じてる。それなら…


『我が愛しい子よ…』


私はそれを叶えます。


『今度は何を欲するか』


私は…絶望を薙ぎ払う絶対的な力を。


『大きな望みは、その身を滅ぼす』


それでも構いません。
私の身が滅びても、私は今この人の信じるモノを守りたい。


ユーシスの希望は、誰にも汚させない!!








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