-astral-星に捧ぐ少女


「魂奪の巫女…」

「え…?」


シエルナの言葉にカースは首を傾げる。


「それが僕のもう一つの呼び名。僕の反魂の力は魂を呼び戻すのと別に奪う事もできるんだ」


それで魂奪の巫女と…
これは僕の最も隠したい過去。


アデルシア帝国の最北端にあるカヤナ村での事。


僕はカヤナ村に生まれた。
あれは…
僕が10才の時だ。


反魂のアストラルの力に目覚め、それを村人が巫女と祭り上げた。


僕はただ流されるまま巫女になり、沢山の魂を呼び戻した。


ただ、僕の力は魂が肉体から離れて時間がたってしまった者には作用しない。


魂が完全に肉体と決別してしまうからだ。


魂と肉体は二つで一つ。
それが決別すれば二度と繋がる事はない。


そして、巫女としての役割は魂を呼び戻すだけじゃなかった。


「僕は、巫女の役目として罪人の魂を奪う役割を与えられていた。だから僕は…」


沢山の命を奪った。
罪人といえど同じ人間の命を奪ったんだ。


「僕の手は血に染まってる。僕こそが罪人なんだ…」


そうだ…
僕は罪人………


だから僕が生きたいと願う事は許されない。


僕は…
死ねる事が嬉しいとさえ思った。










< 323 / 357 >

この作品をシェア

pagetop