-astral-星に捧ぐ少女


「カースさん…シエルナ…」


力を増幅させながら、何も出来ない自分にもどかしさを感じていた。


私は…ただ見ているだけしかできなかった。


それでも……
今私達が動いたら前線で戦う皆の命が危ない。


今は必死に堪えなきゃならない。


「兄さん…」

「フィリア…?」


隣にいる兄さんが心配そうに私を見つめる。


「兄さん、何も出来ないという事はこんなにも辛いんですね…」


私は…
友達が、仲間が傷つくのを見ている事しかできなかった。


「今は心を強く持つんだ。その強さが力になる」

「兄さん…」


私一人じゃなくて良かったです。


隣に兄さんがいる。ユーシスの風がある。


それなら私は…


『黄金の弓を引き絞り』

『漆黒の弓を引き絞り』


私と兄さんの弓にそれぞれ矢がつがえられる。



「…いけるか、フィリア」

「はい、兄さん」


私達は狙いを化け物の群れへと向ける。


まだまだ数千といる化け物を消し去る力。


兄さんの破壊の力で化け物としての力を消し、私の再生の力で人としての姿を取り戻す。













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