-astral-星に捧ぐ少女


「おぇっ…うぅっ…」


シエルナが地面に膝をつき吐いた。


化け物が化け物を喰らう図はあまりにも残酷すぎた。


「シエルナ!!くっ…」


カースも片手で耳を塞ぎながらシエルナの背をさする。


「うっ…魂が…魂までぐちゃぐちゃにっ…」


シエルナの瞳には私達には見えない何かが見えているのか、必死に目をつぶっていた。


「シエルナ…大丈…っ」


シエルナに歩み寄ろうとするも体がいうことをきかない。



「無理すんな!!」


ぐらついた私の体をユーシスがとっさに抱き留める。


「でも…シエルナ…」

「自分の心配もしてくれ!!フィリアだってもうボロボロだろ…」


ユーシスが私を強く胸に押し付ける。


「…シエルナにはカースがいる。だから今は自分の心配をしろ」

「………は…い…」


戦いの最中だというのに、ユーシスの腕の中は温かく安心できた。


「気を抜いてると、全員あれの腹の中だそ!!」


ジード隊長の声に私達は気を引き締める。


「…グギャギャーッ!!!」



自軍の兵士を食べ尽くした化け物は私達を見ていた。


嫌な汗が背中を伝う。


「…ここで審議をしよう」


沈黙が続く中、エイゼ様がポツリと呟いた。


皆がエイゼ様を見つめる。


「あれは今までの化け物とはわけが違う。ここで私達が死ねば世界が終わる。もう迷ってもいられない」


…あれは……
きっと私達を殺す。


そうだ、あの時みたいに全てを終わらせてはいけない。







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