-astral-星に捧ぐ少女


「やっぱり…いなくなるのか…?」


…この声…


私の後ろから声をかけたこの人を、私は本当に大好きだった。


「ユーシス…」


振り返ると、ユーシスは泣きそうな顔で私を見つめている。



「フィリアを見つけた時、天使かと思った」


ユーシスがぽつりぽつりと呟く。


その一つ一つを聞き逃さないように私は耳を澄ました。


「初めて目が合った時、すごく不安そうで、どこか寂しそうでさ…」


ユーシスは俯いて笑った。


「俺はこの子を守らなきゃって思った」


…ユーシス……
私はその時、初めて塔の外に出た。


見るもの全てが新鮮だった。


それでも、目が覚めて初めて手に入れた自由の中で、初めて見たのはユーシスの瞳だった。


「私は…ユーシスを見て太陽だと思いました…」


輝く太陽、燃える太陽…
そして…


包み込む風……
それはゆりかごのように心地良かったのを覚えてる。










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