-astral-星に捧ぐ少女
「…行っちゃった…の…?」
そこにカースが現れた。
俺が頷くと、カースは痛々しい笑みを浮かべる。
「そうか、お別れも言えなかったな…」
誰を想ってるのか、カースも空を見上げた。
「…あの馬鹿……」
「はっ…まぁそういうな」
いつ来たのか、ダンテとジード隊長もいた。
俺達はただ青空を見上げる。
「これが…あいつらが守った世界の空か…」
不意にジード隊長がそう呟いた。
フィリア達が守った空…
「綺麗だね…」
「チッ…そうかよ」
「本当は綺麗だと思ってるくせに」
カースとダンテがいつものやり取りをする。
それでも、いつものように傍にいた奴らはいないんだ。
「…俺達は…これからどうしたらいいんだよ…」
俺の言葉に、皆が俯く。
「俺達はあいつらが繋いだ未来を守るんだよ」
ジード隊長は迷うことなくそう言って俺に手を差し出した。
「立て、ユーシス。お前の風が冷たいと、嬢ちゃんが悲しむぞ」
俺の風…………?
「お前がそんなんじゃ、嬢ちゃんに嫌われるぞ。風のように前を向け、立ち止まるな」
ジード隊長……
そうだ、ジード隊長はこうやって俺に騎士という道をくれた。
フィリア……
俺、ずっとフィリアが好きだ。
だからここに誓う。
生涯、フィリアだけを愛すると。
この剣にかけて。
それが俺の幸せだ…
俺はジード隊長の手を取り前を向く。
大好きな人が守った世界で、約束と誓いを胸に…