-astral-星に捧ぐ少女
「ダンテ、フィリアをラージシア大陸に連れて行くってどういう事だ?」
―ドクンッ
ユーシス…さっきのダンテの言葉を覚えていたんですね……
「あ?どうもこうもこいつの両親との契約なんだよ。こいつをラージシア大陸のベガースまで連れて行くってな」
ダンテの言葉にユーシスは首を傾げる。
「契約?
そもそもお前フィリアとはどういう関係だ?」
「雇い主のブツと何でも屋だ」
雇い主…お父さん、お母さんの事ですね…
「こいつの両親がこいつを塔から助けるよう俺に依頼した。それはテメェにも話しただろ?」
ダンテが私に話しをふる。
どうしよう……
私は記憶が無いという事になってる。
今まで通り知らないふりをしなくてはいけないのに…
とっさに言葉が出てこない。
「…フィリアは記憶が無いはずだ!!お前もフィリアを狙って来たんじゃないのか?」
ユーシスの言葉にダンテは眉間にシワを寄せた。
ユーシス……
私の信じてくれている…
こんなに心が苦しいのは
きっとあなたに嘘をついているからです…
「記憶が無い?
馬鹿言うなよ、こいつは俺の事を覚えてたんだ。記憶が無いわけねぇだろ」
そうだ……
私、ユーシスの前でダンテさんの事を知っているような態度をとった…
ユーシスもそれに気付いたのか、私をじっと見つめる。
「…っ…すみません…ユーシス…」
その視線から逃れるように私は視線を外した。