-astral-星に捧ぐ少女
「お、お前…怒ってねぇのかよ?」
ダンテの言葉にユーシスは不思議そうな顔をする。
「あ?何でだ??」
ユーシスの一言に全員がため息をついた。
「…ユーシスに空気を読めとは言わないよ。でも…ややこしい事をしてフィリアさんを困らせないで欲しいね」
カースさんは苦笑いを浮かべて私に笑みを向けた。
「がっはっは!!
お前本当にやってくれるなぁ!!!」
隊長はお腹を抱えて笑っている。
「何だよ隊長まで!!!
俺は、記憶が無くなるってのはさ、今まで自分が大切にしてたモノ、好きなモノ…慈しんでた気持ちまで無くなっちまうって事だからさ………」
ユーシスは私の両手をとって握りしめた。
「記憶が無いほど悲しい事は無いって思うんだよ。だからフィリアにも誰かを好きになった気持ちとか、自分の大切なモノが在ったんだって事が分かった事が嬉しいんだ」
そう言って私に笑顔を向けたユーシスに私は目を見開く。
「…どうして………」
私はユーシス、あなたに嘘をついた…。
ユーシスが言う私の大切な記憶を、私は否定した。
悲しい記憶だから、忘れてしまえたら…
なのに………