-astral-星に捧ぐ少女
「こんなに…思い返すだけでこんなに辛い記憶なら…忘れてしまえれば良かったんです!!!」
ひたすら涙をながす私を、誰かが後ろから抱きしめる。
「そうだね…君が育んできた記憶は酷く残酷で、悲しい記憶だったのかもしれない……」
抱きしめたのはエイゼ様だった。
まるで自分の子供のように頭を撫でながら私を抱きしめる。
エイゼ様…何故エイゼ様は私の記憶を知っているような口ぶりで話すのでしょう…
そう思って気付く。
エイゼ様は神瞳のアストラルに選ばれた方だ。
私の未来も、過去も、エイゼ様にはお見通しなのでしょう……
「でも…よ……。
本当に、悲しい記憶だけだったのか…?」
ユーシスの悲しそうな瞳に私は俯く。
お父さん、お母さん…
二人の笑い合った時間は、幸せなモノだったのかもしれない。
でも……
「幸せだったから…大切だったから……。失ったモノの大きさに気付いて、忘れてしまいたい程に思うのだと…思います……」
辛くて苦しくて……
胸が痛くて……
「…だったら…これから楽しい思い出を作るぞ!!」
急に意気込んだユーシスにまたもやその場にいた全員が目を見開く。