-astral-星に捧ぐ少女
「おや?これは驚いた」
男性は私を見て笑みを浮かべる。
私と男の子の顔が似ている事に驚いているんですね…
自分自身が一番驚いているのですが…
「君は…ロイの対じゃないか!いやぁ神の巡り会わせとはこういう事を言うんだね…」
………対……?
「まさか…こんな所で君と出会う事になるとは思わなかった…」
今度は男の子が悲しげに呟いた。
「私の事を知っているのですか…?」
私の問いに彼は曖昧な顔をした。
「…僕は…………」
「あなたはまだ知る時ではないよ。時が来れば…」
彼の言葉を遮り、男性はそう言って私へと手を伸ばす。
―キィィィン
…耳鳴りがする。
男性は私の頬に優しく触れた。
「…私はロスト。君の世界を壊す者だよ……」
私の…世界……?
「君にとっての世界が何かに気付いた時…君は絶望して、乞うだろう…。さぁ、1万963回目の悲劇を始めよう」
え…………?
1万962回の悲劇……?
「ロスト!!!
彼女は巻き込まないでくれ!!」
私の頬に触れるロストと呼ばれた男性の手から私を奪うように男の子が私を引き寄せた。
―トクンッ
男の子に触れられた瞬間、不思議な感覚が体を支配する。
『汝が…』
…えっ……?
『…現在(いま)を紡ぎ、世界を存続させる者か?』
この声が何なのか…
この言葉の意味が何なのか…
私には何も分からない…
『我は…現在を断ち切り、世界を滅亡させる者』
世界を…滅亡させる…?