-astral-星に捧ぐ少女


『…私は…今、この瞬間の世界を断ち切り、あの時の…私の愛した世界を存続させます!!』


白銀のアストラル…そして…
漆黒のアストラル……


『不可能だよ!!
すでに失った世界を存続させる事は出来ないさ』

『いいえ…今、私の前に広がる世界を断ち切る事で私は失われたあの世界をもう一度………』



―私は瞳を閉じた。
あの時、私が愛した世界を思い浮かべる。


『白銀のアストラル……』


私に世界をも変える力があるのなら


兄さん…力を貸して下さい。私はもう一度取り戻したいのです……


『そして…戻りしあの世界でもう一度……。私はあなたを見つけ出し、世界を守ります…』


…あれ……?
これは未来のはず……


未来の私は世界を守れなかった…だから世界の時を巻き戻し、またロストと対峙する道を選んだ……


『…未来の私…いえ、過去の私…。私が見えていますか?』


未来の私はまるで私に語りかけるかのように言葉を紡ぐ。


『今のあなたは私が愛した世界のあなた。私が巻き戻した世界の時を生きるあなたです』


私が…巻き戻された時を生きている……?


『あなたはきっと、今この悲しい未来を見ている事でしょう…。私も…私も同じ未来を見ました。そして私の未来、そのまた未来の私もこの結末を変えようと世界の時を戻した……』


何を…どういう事ですか?


『どうか…あなたが未来を変えて……。この繰り返された悲しみの連鎖を…あなたが終わりにして…』


あぁ…そうか……
未来の私は何度もこの未来を変えようとしていたのですね……


変えられないとわかっていても…何度も………


私は…私がやらなければいけない事がやっと分かりました……









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