月のない夜
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目の前が真っ暗になった。特に問題ではない、誰かが人は生まれながらにして盲人であると言っていた気がする。小学校の先生が言っていた「人が生きて人生になる」という言葉を意味も分からないのに未だに覚えている。じゃあ、どうして私はこんな所に居るのだろうか。電気の消された部屋は生暖かい空気に満たされ、背筋を流れる汗はまるで虫が湧いているように肌を粟立たせる。
「やあ、こんばんは」
突然、暗闇の中から声がする。そいつは何故か窓にいて、何故か黒いフードをかぶっていて、付け足すように「あやしいものではありません」そう言って、ヌッと部屋へ入ってきた。
「今日は良い夜ですね。特にあの青白い月は、なんて綺麗なのでしょう。とても気持ちがいい風が吹いています」
私は思わず窓の外をのぞき見ようとしたが、そもそも今日は曇りで昼間の太陽ですら見えないのに月なんて見えるはずもない。クスクスと暗闇がふるえる。
「やあ、こんばんは」
突然、暗闇の中から声がする。そいつは何故か窓にいて、何故か黒いフードをかぶっていて、付け足すように「あやしいものではありません」そう言って、ヌッと部屋へ入ってきた。
「今日は良い夜ですね。特にあの青白い月は、なんて綺麗なのでしょう。とても気持ちがいい風が吹いています」
私は思わず窓の外をのぞき見ようとしたが、そもそも今日は曇りで昼間の太陽ですら見えないのに月なんて見えるはずもない。クスクスと暗闇がふるえる。