幼なじみは運命
蓮は一言も返さずに、玄関を後にした。
後ろからお母さんの「いってらっしゃーい」の大きな掛け声。蓮は後ろを向いて一礼。
「ねぇ、蓮ってば、聞いてる?」
「あぁー。聞いてない」
ひどい。
この、ボーっとしている男子は、高木蓮。
あたしの家の近くに住む、イケメンボーイ…で、あたしの初恋相手。
まぁ、今も好きだけど…
蓮はあたしの気持ちには気づこうともしない。
あたし達は、小さい頃から仲がいい、いわゆる幼なじみ。
でも、あたしはそれが辛い。
幼なじみをみんな「近くにいれていいな~」とか「ずるーい」とか言うけど、幼なじみなんて、一番の恋愛対象外じゃん。
みんなは幼なじみを理解していない。
「おい、早く行くぞ。」
「えっ、あーうん」
< 4 / 22 >

この作品をシェア

pagetop