魔性の女? 受付嬢・小出めぐみの秘密
「そーんな事無い。もう十分、ラブラブだしぃ」

 ソファ席の相席に座っていた小出さんは立ち上がって、俺の横に座り込んでベターッと身体を密着して来た。

「俺はまだまだ、君の事は理解していないんだぜ? 君も俺の事を知らないだろう?」

「だから?」

「恋人同士になるんだったら、もう少し時間を掛けて…」

 小出さんが更に意外な態度を見せたのはこの直後だった。

 俺の口に手を当てて、喋りをストップさせたのだ。

 俺の背中に手を回し、ギュウッと抱擁して来る小出さん。

「難しい理屈はNGだよー。私たちって会社でいつも顔を合わせているじゃなーい? もう十分、お互いを理解しているんだし」

「互いに顔を合わせるのは、君が受付カウンターに座っている時だけだろう? それ以外は滅多に顔さえも合わせていないハズだ」
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