フルーツ ドロップス

病弱少年はヤンキー君

俺は、保健室に彼を運んだ。
ガラッと開けると、佐倉先生が起きた。
…椅子の上で寝ていたらしい。
気楽な人だ。
 「どーした、唐沢。あ、森川、また倒れたのか。」
 「……また?」
佐倉先生がしまった!みたいな顔をした。
俺は何も聞かなかったけど、先生は察して話してくれた。
 「……仕方ないな。森川はな、病弱で、貧血持ちなんだよ。」

佐倉先生の話によると、彼は病弱で貧血持ち。
幼い頃からまともに学校に来れていなくて、中学の頃には陸上に入っていたものの、病気のせいで途中で辞めてしまったらしい。病弱である事も周りには知られたくなくて、髪を金髪にして、顔色が悪いときでも分からないようにしているらしい。
 「…森川は、素直になれないお子ちゃまだからな。」
 「…じゃぁ、”不良ぶってる”ってことですか。」
 「ま、そうだろうな。あいつなりの考えだろう。周りに病弱だと知れれば、周りは変に気を使う。それが嫌なんじゃないか?」

……ベットの横にある椅子に座った。
ふわぁ…と欠伸をしたとき、
 「でけぇ口。」
彼が起きた。
 「…だいじょぶ、ですか。」
 「たいしたことねぇよ。こんなん。」
起き上がってそう言うけど、彼はふらっとしたのかまたベットに寝てしまった。
さっきよりも少し顔色は良くなっていた。
 
 「…ダサいって、思うだろ?」
 「……え。」
天井を見たまま彼は言った。
 「ダサいよな。男が病弱とか、貧血とか。…俺、陸上好きだったからさ、中学ン時、めちゃくちゃ頑張ったんだ。でも、出してもらえなかった。」
 「…何で。」
 「……”試合中に倒れたら大変だろ?”…だって。余計なお世話だよ!!って思うよな。……」
腕で目を隠しているから見えないけど、泣いているような気がした。
 「……嫌なんだ。こんなに弱っちい俺が。……どうしても、好きになれねぇっ……。」

 「……無理に好きにならなくても、いいんじゃない。」
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