フルーツ ドロップス
りんごあめ
私立阪上学園
____ピピピピッ…
柔らかい、日差しが差し込む。
目覚ましが頭に響く。
カチッ、と目覚ましを止め、ベットから体を起こした。
「千弘、千夏、朝。起きて。」
三段ベットの上に向かって声をかけるが、
返答はない。
ま、いつものことだけど。
そう思いつつ、二段目に昇り、ぽんぽんと肩を叩きながら声をかけた。
「千弘。起きろ。朝。遅刻。」
「……兄弟。俺はまだ寝たい。もう少しだけ…」
コイツは次男の千弘。
俺と千夏を‘兄弟‘と呼び、ドライな性格だ。
俺はまたその上の三段目へと昇った。
「千夏、起きろ。朝。」
「ん、…千空くん、も、朝ぁ~?……」
コイツは三男の千夏。
俺と千弘を、‘君づけ‘で呼び、楽天的な性格だ。
千夏はベットから起き上がると、目を擦り時計を見た。
「ほんとに、朝なんだね。起きなきゃ遅刻しちゃうよ。」
あはは、と笑いながら頭を齧る。
俺は、階段を下りて一階に降りた。
テーブルには三人分の朝食が用意されていて、傍には置手紙が置いてあった。
‘朝食に目玉焼きを作っておきました。ちゃんと食べて学校に行く事!
食器はちゃんと洗って、拭いて、片付けておいてね!!
今日は、10時頃帰ります。夕飯、頼むわね。
母より。‘
うちの家の母はシングルマザー。
父さんは俺たちが小学三年のときに交通事故で死んじまった。
それからと言うもの、母は働きづめで俺たちを育ててくれた。
でも……
「これは、酷いな……」
目の前には黒い物体と化した‘目玉焼き‘と呼ばれるもの。
明らかに焦げていた。真っ黒に。
はぁ、とため息をついたとき、
二人が階段から降りてきた。
「あ、千空くん朝ごはん作ってくれたの?」
「違うよ、母さんが作ってった。」
置手紙を二人に渡すと、二人は交互に見た。
黒くなった目玉焼きに苦笑いを浮かべながら
「「これは、酷いな……」」
二人はそう言った。
三兄弟の俺等は、
朝から言う事がかぶっていた。