フルーツ ドロップス
学校の中は学生で賑やかだった。
いつもと同じなんだけど。
クラスに入ると、ざわっと周りがざわめいた。
……何かしたか、俺。

ちなみに、俺は2ーA、
理と千弘が2-B、千夏が2-Dで、
桃は1-Eだ。
この学校は私立で大学付属だからクラスも多いし、
ま、クラスは成績順ではないけど、Sクラスっていう
所は特進クラスって言って、大学進学者ばかりのクラスだ。

だから俺は別に特別頭がいいわけじゃない。…はずだ。
現に学年首席の理はBクラスだからな。

 「ち、千空くん!!」

と、そのとき、
いきなり声をかけられた。
振り向くと、そこには小さい女の子が立っていた。

 「あ、あの、ぷ、プリント、きょ、今日までなんだけど…」
…プリント?
 「何の?」
 「し、進路調査のプリン、ト……」
 「……」
……あ。
 「……母さん、持ったまま仕事、行ったかも。」
 「え、あ、……そ、そっか……!じゃ、つ、伝えておくね!」
 「……自分で言うよ。」
そう言うと、その女の子は驚いた顔をして、俯き、
 「あ、りがとう…。」
と言った。
今更かもしれない。
……失礼かもしれないけど、

名前が分からない。
きっと進路調査書を集めるくらいだから、
それなりに、偉い人。
…学級委員、かな。
 「あ、あの、千空くん……?」
 「あ、……ごめん、なさい。なん、ですか?」
 「ぇ、ぁ、ううん!誤らなくていいの!」
 「……名前、何だっけ。」
 「え、…あ、き、北見 栞!!北見栞って言うの。」
そう言うと、笑った。
……北見…さん。
 「…わざわざありがとう、北見…さん。」
 「…ううん!!全然いいよ!!じゃ…!!」
せかせかと歩いていく北見さん。
…学級委員さんも大変だな。
そう思いながら、席に着いた。
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