深呼吸の仕方
まだ怒っている

僕は何か悪い事言ったのかな・・・?

「なんでわかったんだよ」

少し前を歩くあの子は言った。いや、あの子とは隆司と言うらしい。

「え?何が??」

「だから俺が泣いてるって・・・。だって学校で泣いてなかったじゃねぇか」

「それは・・・僕にもなんでかわからないんだけど・・・」

呆れられた。

ただの偶然か

とまで言われた。

「信じてもらえないと思うけど、僕には青い世界が見えて・・・その頭に・・・重みがきて、僕は青に包まれて・・・そんで・・・なぜか一人だけ泣いている人が見えるんだ」

「お前頭大丈夫か??」

「自分でもそれは思っているよ。やっぱあれはなんかの幻覚だったのかな」

だが隆司は思いもよらない話をし始めた

「確かに・・・朝泣いていたよ。心の中で」

心の中で・・・?

「あぁ、昨日さ、通り魔があったって話聞いただろ?先生も言ってた。
あれでさ、家に帰る途中の父さんが、当たっちゃったみたいでさ」

当たっちゃったみたいで・・・の意味がなんとなくわかった。
日本語はおかしいけれど

「俺、どうしたらいいかわかんなくてさ、病院と警察から電話来たときは
もう死ぬかもって思ったんだぜ。なんで父さんなんだって思った。」

「・・・もしかして、隆司の父さん昨日・・・?」

うなずいた隆司の顔は今にも泣きそうな顔でぎゅっと縛った顔をしていた

「なんでこんなことお前に話しているんだろうな」

いいんだ。ごめんな、僕、何も言葉が出ない


それは嘘。言葉が出ないなら、あの青い世界の時のように何かが制御するはず

「悪いな、付き合わせて。おまえは・・・なんかすごい力持っているのかもな。話しただけでも少し現実だって思うことができたから。」

じゃぁな
と隆司は無理な笑顔で僕とは反対の道を歩いて行った。





僕はどうしようもない感情ができていた。
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