大江戸妖怪物語
紅玉のような目。鋭い、きらりとした眼。長い睫。綺麗な二重。透き通るような白い肌。光沢のある銀髪。筋の通った鼻。形のいい唇。美しい声。
・・・完璧すぎた。
銀髪娘「見たのか?」
その声を強めた。
銀髪娘「私が炎を止めたところを見たのか?」
娘は月光を背に言葉を紡いでいた。まるで娘の言葉には言霊が宿っているかのごとく、僕はその言葉を聞いていた。
神門「見た!」
その二文字で僕は即答した。
神門「僕は見た。君が刀であの炎を止めたところを「死ね」
僕の言葉を遮るようにして娘は僕へと向かってきた。いつの間にか刀は抜かれ、僕の首元に。僕は瞬時にしゃがみ、身を守った。娘の刀は空を切った。
しかし、次の攻撃も早かった。空を切った余韻のまま、刀の向きを変え、しゃがみこんでいる僕目がけて振り翳される。
僕は寸前でしか避けられない。間一髪、その攻撃は僕の避けた脇腹のすぐ横に叩きつけられた。
ぐるっと一回転し、立ち上がる。目の前の光景に僕は絶句した。
・・・川が凍っている。