大江戸妖怪物語
僕は下心剥き出しの表情を必死に抑えた。
神門「うん、無事だったよ。運よく3軒隣で火が消えてさ・・・」
小豆「へぇ!運がいいじゃない。神様の力かしら」
神門「神様・・・っていうか・・・」
銀髪の娘というのか・・・殺人未遂犯と言うか・・・
小豆「でも良かったわ!今日は大サービスよ!お汁粉も作ってあげる」
神門「えぇ!?いいの!?」
小豆「もちろんよ。神門くんの為なら、腕を振るうわ!」
アズ姐は腕まくりをすると意気揚々とすぐに調理場へと行った。
そして僕は再びさっきの瓦版を取り出す。モノクロの紙が、やけに僕の記憶へとねじ入ろうとしているようで。
神門「やっぱりこれって・・・あの銀髪娘の仕業かなー・・・?」
僕は頭をひねりながら考えたことをポツリポツリと喋っていた。
神門「だってさー・・・人間業とは思えない刀捌きだし・・・」
刀捌きが凄いから、体中から血を抜く殺人犯だと決めつけるのは拙いよね・・・。そうしたら、武士の方々皆犯人にしてしまいそうだ。
小豆「へぇー。その銀髪娘さんってどなたかしら」
僕は慌てて上を見ると、アズ姐が神妙な顔つきでこちらを見ていた。
神門「いや、あの、これは、独り言で・・・」
小豆「それにしては大きい独り言だったわよ」
アズ姐は僕の顔を間近に見てくる。
神門「お汁粉できたの?もう?」
小豆「餅は、さっき別のお客さんに出したところだったから、温かかったのよ。餡子もそれに同じく」