大江戸妖怪物語
?「・・・あの、ありがとうございました。それで、その・・・お聞きしたいことが・・・」
彼女は顔を上げて聞いた。
?「お二人は・・・人間ですか?先ほどの超人的な行為を見る限り、そうは思えなくて・・・」
彼女は首を傾げた。僕と雪華は一旦顔を見合わせ、頷いた。
雪華「・・・あなたの言うとおり、私は人間じゃない。私は雪女」
神門「僕は人間だけど、妖力を持ってるんだ」
?「やっぱりそうですか・・・」
その様子に僕は不自然さを抱いた。
神門「・・・僕たちを妖怪だと知って驚かないの?随分、慣れているようだけど・・・」
?「・・・私、もともとは妖怪に縁のある家系なんです。だから妖怪とは近い距離で暮らしてきたので・・・」
山吹の花が寒さで萎れかけていた。
?「ああ、山吹の花ですね・・・。今日の寒さは堪えるようですね」
山吹は冷たい風に吹かれながらも、頑張って耐えていた。
?「昨日は春の天気だったので、咲いたんですよ。・・・はぁ、私、体弱くて、気候が変わると発作が出ちゃうんです」
彼女は溜息をして肩を落とした。
木南「あ、私の名前は紅皿木南と言います。この水車小屋で仕事をしながら生計を立ててるんです」
木南は笑顔で会釈した。
雪華「私は雪華。そしてこいつが・・・」
神門「紅蓮神門です。よろしく」
僕はペコリとお辞儀をした。
木南「紅蓮・・・?もしかして、江戸で刃派という店をやっていませんか?」
神門「え?!知ってるの?!」
こんな田舎町で、刃派という名前が出てくるとは思ってなかった。
神門「確かにそうだよ。僕は刃派を経営してる。なんで知ってるの?」
木南「昔、江戸に行ったときに繁盛しているのを見たんですよ。その時に紅蓮という名前を知りまして!」
神門「へえ~。意外だな!ありがとう」
僕は刃派を知ってくれていたことがとても嬉しかった。
木南「そんなお礼を言われるほどのことでは・・・。苗字に紅って文字が入る者同士、仲良くなりそうな気がしますね!」
木南は両手を前に合わせて、かわいらしいポーズを取った。やっば・・・かわえええええ。
木南は見た目的にも17歳くらいといった所か。まだ幼さが残っている。
雪華「・・・・・・で、あなたはなぜあいつらに追われていた?そして、あいつらは何者?」
刃派の話中沈黙を保っていた雪華が口を開いた。腕組みをしながら真剣な眼差しで木南を見る。
木南「あの人達が何者かは知りません・・・」
木南は視線を下に向けた。