大江戸妖怪物語
泰山王さんは何も言わずに僕の右すねを蹴飛ばした。
神門「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!」
僕は悶絶しながら右脛を抑える。いったあぁぁぁぁぁ!!!
泰山王「いいよ!その顔、嗚呼たまらない!!」
泰山王さんは頬を赤らめながら苦しむ僕を恍惚の表情で見つめる。
??「う・・・うぅ・・・」
僕の後ろの方で、何やらうめき声が聞こえた。
神門「い、いま・・・うめき声が聞こえた気が・・・」
雪華「うめき声だと?」
僕が声が聞こえたほうへ向かうと、草むらの中に、青年が1人横たわっていた。
神門「え、ちょ!大丈夫ですかぁ!?」
僕が背中をゆすると、青年はゆっくりとこっちを向いた。
青年「い・・・痛い・・・揺すらないで・・・・・・それに、頭・・・クラクラする・・・」
青年は痛みに顔を歪める。よくみると至る所に刺し傷があり、血が出ていた。
神門「ご、ごめん!!でも、ここにいるよりは向こうにいったほうがいいよ!僕が運んでいくから!!」
青年を抱え、歩き出す。お、重い・・・!!!この人、やはり僕とあまり身長差がないため、なかなかの重量だ。やっとのことで、皆がいるところまでこの青年を運んだ。
そして、その青年の顔をみた瞬間、雪華の顔が驚きの表情に変わった。
雪華「な、お前・・・何をしてる!!」
青年「あ、雪華じゃん・・・何やってんのここで・・・」
雪華「何やってるって・・・というか、まさかあの龍は!!」
雪華が顔をしかめる。
泰山王「おやおや、黒龍くんじゃーん。おひさー」
泰山王は軽い感じで青年に話しかける。
青年「どうも、お久しぶりです・・・ゴホッ・・・」
神門「いや、律儀に挨拶してる暇じゃないから!!とにかく、この傷をなんとかしないと!」
泰山王「傷?あー、ほんと。しょうがないな―特別大サービスだよ」
泰山王さんはそういうと元に戻った薬壺の蓋を開けた。すると、緑色の煙がモワモワとあたりに充満する。
神門「な、なにこの煙・・・」
泰山王「これは、治癒薬。この煙の中にいれば、ほとんどの怪我はたちまち治る」
僕もその煙の中に入ってみると、体中の至る所から痛みが引いて行った。雪華の傷も治っている。そして青年の傷が治ると、青年はスクッと立ち上がった。
青年「すみません・・・手間をかけさせてしまって・・・」
泰山王「いーのいーの。気にしないでー」
神門「あのー?この方は・・・?」
僕が尋ねると青年は怠そうに挨拶を返した。