大江戸妖怪物語
黒龍「俺の名前は黒葛原樹生・・・皆から略して黒龍って呼ばれてる・・・わけわかんない・・・」
神門「いや、そのあだ名センスは評価に値するけど」
雪華「黒龍は、閻魔王様の部下の一人だ」
神門「え、そ・・・そうなの!?」
黒髪で首筋には“龍”という文字の行書体の刺青が施されており、右耳に空いた丸くて黒いピアスが特徴的だった。さらに、どこかけだるそうで・・・
雪華「そもそも、なぜお前が雀陽ごときに操られているんだ!!お前程度のレベルなら、あれくらいの邪鬼など木端微塵だろう!!」
黒龍「うーん。そうなんだけどねー・・・。ほら、一応ここが僕の故郷じゃん?そんで里帰りしたらさー・・・・・・・」
事の顛末を黒龍は怠そうに話してくれた。
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少し前の日のこと・・・・
黒龍「うー・・・、久しぶりに実家の沼に戻ってきた・・・。腹減った・・・ってあれ?食べものないじゃん・・・。なんだよ、ブラックバスもいないとか、ありえねー・・・。オオサンショウウオは食べちゃダメだしなぁ・・・」
その時、沼に広がる波紋・・・。そ、そこには・・・・・・・・!!!!
黒龍「う、梅干し・・・・・・!!!梅干しだあああああああ!!!!!」
黒龍は大好物の梅干しが投げ込まれたことに歓喜し、水面へと飛び上がった。と、同時に岸辺にいる胡散臭い男・・・。
雀陽「ほれほれ~。おいし~い梅干しがあるよ。もっとこっちに来てくれれば、好きなだけ梅干しをあげよう!!!!」
黒龍「うわぁ~~~!こ、こんなにたくさんの梅干しが・・・!いっただきまー・・・・・」
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・・・・・・
黒龍「・・・から、今まで記憶がないんだよね・・・」
神門「・・・・・・」
雪華「・・・・・・」
泰山王「・・・・・・♪」
雪華が黒龍の胸元に手を伸ばす。
雪華「何やってんだお前は・・・!!」
神門「明らかに、餌で吊られてますよね!」
黒龍「失敬な!・・・・・・・餌ではなく梅干しだ!!」
神門「そこ重要視するところですか!?」
黒龍はポカーンとしたまま、雪華を見つめる。
黒龍「はー、なんか疲れたし、・・・・・・・冥界に戻ろうかなー」
どうやらこの男、かなりマイペースなようで・・・。立ち上がって尻の土汚れを払うと泰山王さんに近寄った。
泰山王「あれ?もしかして冥界行く?」
黒龍「はい。なんか・・・・・・・ごめんなさい、俺のせいで迷惑かけちゃって」
泰山王「はいはーい。んじゃ、あとで僕と一緒にかえろーね♪」