大江戸妖怪物語
ちょっと待て。頭を整理しよう。
神門「火事?」
唖然とした表情で僕は尋ねた。
母「そ。火事」
・・・・・・
神門「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
僕は慌てて周りの貴重品を風呂敷に詰め込む。もちろんでっかいどー中肘栗毛もだ。
母「橋まで火が来てるの。早く逃げないと」
神門「橋ぃ!?3軒隣じゃねぇか!早ぅ言ええええ!」
僕は慌てて家を飛び出す。2軒横が轟々と燃えていた。ショックなことに風向きは南東。この家が燃えるのは直だった。
神門「刃派はどうなっちまうんだ」
母「残念だけど・・・途絶えるでしょうね。諦めなさい」
目の前で自分の家が燃えるのを見届けなきゃならないのか・・・・ッ!
クソッ・・・!!
僕は地面を拳で殴った。木造が主流な江戸の町はよく燃えてしまう。
『火事』は収まらない。三日三晩、それ以上燃えることがほとんどだ。それ以下は稀だ。明らかに僕の家は燃える。