大江戸妖怪物語
雪華「地獄の主、閻魔王様だ」
神門「え、閻魔ぁ?!」
閻魔王様って、舌を引っこ抜いたりする人?!本当にいたんだ。
雪華「その方が私に命じたのだ」
神門「閻魔王様かぁ・・・。本名はなんていうのかな。閻魔次郎長とか?」
雪華「・・・あのなぁ。・・・本名は閻魔王様ではない。わかりやすく言えば、地獄の長となった人に与えられる名前が閻魔なのだそうだ。私自身、閻魔王様の本名は知らない」
神門「その人は人間との共存を推進してるんだね」
雪華「あぁ。現状に憂いておられるがな」
神門「あれ、でも、雪華って・・・僕と初めて出会ったとき、・・・・・・僕のこと襲わなかったっけ・・・???」
雪華「あぁ・・・あのときか。あれはお前を試したのだ」
試す・・・?
雪華「私の眼が確かだった。お前は炎刀に選ばれたのだから」
神門「どういうことなんんだよ?」
雪華「初めて見たとき、お前には感じるものがあった。試してみたら、私の攻撃を全部避けた。お前は、私と近いものがあるのがわかった。
それは・・・」
神門「それは・・・?」
雪華「刀に選ばれたということだ」
・・・???
雪華「ポカンとしてるな・・・。私の持ってる脇差。これは氷刀と言う。これは伝説の刀の一つ。そしてお前の太刀。それは炎刀という伝説の刀」
僕の持ってる太刀を指差しながら雪華は説明した。
雪華「氷刀、炎刀、そしてどこかに存在するという残り二つの刀。その四つを『伝説の刀』という。神の力が宿った、素晴らしい刀だ。私が江戸に来た時に、この脇差が炎刀と共鳴した。私は近くにあると確信した。そして神門の家の蔵が一番共鳴したのよ。そして互いの刀が触れ合うことで炎刀は現れた」
神門「つまり、この刀は伝説の刀で、僕は選ばれたと・・・」
雪華「さきほど、お前も人間離れした技が使えたでしょう?あれはその炎刀の力があなたに宿ったから」
神門「じゃあ・・・君の妖力もその脇差のおかげ?」
雪華「いや、元々雪女だったからな。それ相応の妖力は使えた。今ほどではないがな。神門、掌を出してみろ」
神門「こ・・・こう?」
僕は言われるがまま、手を前に差し出す。