大江戸妖怪物語
そして、夜になる。
晴朗の家には、たくさんの弔問客が訪れていた。僕も喪服に身を包んでいる。母さんは先に行って、食べ物の準備をしているらしい。僕はあとから一人で行くことにした。
雪華も一緒に行くことになった。
僕は提灯の灯った晴朗の家に入ろうとした。
前にいた何人かが僕の物音で振り返った。今まで泣いていたのであろう顔が、僕を見て硬直する。そしてヒソヒソ話を始める。怪訝な顔だ。
男「ねぇ・・・あれって、神門だよね?」
女「・・・どうしてここにいるのよ?」
女「私、少し間江戸を離れてたからあまり会わなかったけど、・・・左目あるわよ?!」
男「呪術使って、復活させたとか?」
女「えーやだー・・・」
僕はその人たちの横を無表情のまま通り過ぎる。
神門「・・・だから嫌だったんだよ。ここに来るの」
僕は雪華に言った。
「・・・僕は、忌み嫌われてるの」
「・・・」
雪華は何も言わなかった。逆にそっちのほうがありがたい。