卒業〜幸せの選択〜
そんな碧の表情を見て那智は続ける。


「あ〜!ツカは好きじゃないんだ?」

「嫌いじゃないっすけど…可愛いし。いい子だし。」

「でも、好きでもない…?」

「…はい。」


冬弥の言葉に静かに呟いて、今の気持ちを添えた。


「付き合ったら好きになれるかなぁ…とか、考えちゃうんすよね。」


うつむいた碧を前にして、目を合わせた那智と冬弥。

そして二人はほぼ同時に言葉を発した。


「「じゃー断れ!!」」

「何だよ、トーヤ。真似すんな!」

「は?那智が真似したんだろ!」


どっちが先かという論争が目の前で繰り広げられていて、碧はどうしたらいいのかわからない。


「まーいい。とにかくツカ!!」

「はいっ!?」


那智が勢いよく自分に視線を投げた。


「好きじゃねーなら断れ!!」


続いて冬弥も自分に視線を投げかけ口を開く。


「‥‥ツカが本当に好きな子とつき合わなきゃだめだろ?」

「好きじゃねーのに付き合われても嬉しくねーもん!!」

「好きになれなかったら、自分も相手も辛いだろ?」

「‥‥ですね。じゃあ、言っときます。俺‥‥西川先輩が好きっす!」


そう言い、素早く那智の手を握った。
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