卒業〜幸せの選択〜
碧が言った言葉で二人の先輩に私の頭が占領されていた時だった。

教室のドアが勢いよく開いて、よく知った顔が見えた。


―ガラッ


「噂をすれば…」


碧は“くくっ”と左の口角を引き上げ笑った。


「ゆーいこっ♪」


勢いよく開かれた出入り口から、とびきり笑顔の男の子が現れた。


長身で小さな顔、柔らかそうな茶色のくせっ毛。ぱっちり二重の大きな目はキラキラ輝いている。

ニコニコ笑顔がよく似合う、無邪気で可愛い顔をした男の子だ。



「西川先輩ッ!!」


この人が私の好きな人。
三年生の西川 那智《ニシカワナチ》


「会いに来ちゃいましたぁ!」


“嬉しい?”って聞いてくる那智を軽くスルーして問いかける唯子。


「もぅ授業始まっちゃいますよ?」

「ぅん、だから一緒にさぼっちゃおぅっ!!(笑)」


―ぐぃっ

そう言い那智は唯子の腕を掴み引き寄せた。


「はぁぁ?」

「じゃ、ツカあとよろしくなぁ〜」


笑顔で去っていく那智。もちろん唯子を連れて…


「ははっ‥‥いってらっしゃーい!!」


苦笑い混じりで二人を送り出した碧だった。
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