卒業〜幸せの選択〜
たくさん考えて、悩んだ…

いつもより早く感じる時間は無情にも流れて、もう卒業式の前日になっていた。


教室の窓から見える青く澄み渡った空を眺めながら、何でそんなに晴れ晴れしてるのよ!?何て心の中で叫んでみた。


「‥‥はぁ。」


だけど、現実では控えめにため息がこぼれただけだった。


「まーだ悩んでんの?」

そんな唯子に碧がニヤリと笑いながら訪ねた。

唯子は窓の外から碧に視線を移して唇を尖らせた。


「笑うなぁ!」

「俺は二人なら唯子を任せられるよ。」


急に真剣な顔で碧が言った。


「‥‥何よそれ。」


そんな碧に少し戸惑いながら返した唯子。


「あのさ、どっちかを選んでも、両方を選ばなくても、きっと誰かは傷つくぞ?。」

「っ‥‥」


碧の言葉に胸が大きく軋む。締め付けられて張り裂けそうだ。


「唯子は優しすぎだ。」


そう言った碧は鋭い視線で、射抜くようにじっと見つめてきた。


「…そんなことないよ。」


そんな瞳に私の心の中をすべて見透かされてしまいそうで‥‥

目をそらした。
< 21 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop