卒業〜幸せの選択〜
那智が唯子の腕を掴んで連れてきたのは屋上だった。

きれいな青空が広がっていて気持ちいい。


「ん〜♪いぃてんき!!」

手を空に伸ばし深呼吸する那智。

そんな暢気な那智に唯子が声をかける。


「西川先輩っ!!」

「なにぃ?あ、寒い!?これ貸したげる!まだ少し寒いもんなぁ〜!」


そう言って那智は自分が着ていた学ランを唯子に渡した。

渡された学ランを素直に受け取りながらため息一つ…


「はぁ…」


“急に困ります!!”の一言が言えない私…

そう思いながら那智に目をやる唯子。

二人の視線が絡んだ。


「ん〜?」


那智は唯子の気持ちなど分かるわけもなく、ただ“ヘラッ”っと笑っていた。


「…〜っ!」


ぐっ‥‥笑顔が可愛いんだもん…ずるぃですからっ!!



自己中で

いつもうるさくて


でも…

優しい…



「あのさ…俺らもそろそろ卒業なわけで……」


何も言わない唯子に那智が口を開き話し始めた。

「そぅですねっ!」

「返事とか…聞かせてくれると嬉しいんだけど?」

「え?‥‥ぁ……」


真剣な目…


「あの……」
< 3 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop