卒業〜幸せの選択〜
唯子が何か口にしようとした瞬間

―ギィー…
――ガチャッ


「那智ーっ!」


屋上の出入り口が開かれ、眉間にしわを寄せた男の子が現れた。


細い体に白い肌、黒いストレートの髪。切れ長の目に長いまつげが色っぽい。

どこか不思議な雰囲気の漂う綺麗な顔をした男の子だ。


「勝手に唯子連れ出していいと思ってんの??」

「トーヤっ!おまっ‥‥なんでここに…」

「ツカがメールくれましたっ!」


そう言って携帯をみせた


この人も私の好きな人

三年生の遊佐 冬弥《ユサトウヤ》


「ツカの野郎っ!!」


那智は見せられたメールを見て、碧に呪いでもかけてしまいそうな形相になった。

そんなブツブツ呟いている那智をよそに唯子に話しかける冬弥


「大丈夫?」

「へ?!」


唯子は冬弥の言葉の意味が分からず間抜けな声を上げた。
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