愛してる？．．．たぶん。

昨日の今日だ。



もしもの時の為に、ケータイの電源は切ってある。



もしも、もしもの時の為に、内線……備え付けの電話の受話器は上げてある。



「テスト、…よし！明日の準備、…よし！後は教室の戸締まりをして…今日はサクサク帰るとしますか！」



立ち上がり、再び、んーっと伸びをした僕は、着ていた白衣を脱ぎ、ハンガーに掛けると、デスクの中から鍵を取り出した。



「今日の日直は……あー…山田、かぁ。日誌、相変わらず適当なんだろうなぁ…。誤字脱字だらけなんだろう、なぁ…」



そして教官室の鍵を掛け、昨日の村田が完璧なだけに、山田の残念さが際立つんだよなぁ…なんてボヤきながら教室へ向けて歩き出した…瞬間。



《ん？マイクの電源、は……入ってんのか。……えーっと…先生の呼び出しを致しまーす》



「ん？」



突然のゆるーい校内放送にピタリと足を止めた僕は、放課後に放送なんて珍しいな、なんて思いながら、廊下の隅にあるスピーカーを見上げた。